ここでは、Skagit Castの特徴について書いて行こうと思います。
Skagit Castに関わり10年近くになります。重たいフライを飛ばすためにシステムとして紹介されたSkagit Castは、その後のタックルの驚くべき発展と共にその役割や目的、特徴が大きく変わってきています。私なりのこの方法に対する現時点での解釈を書こうと思ってます。Skagit Castに関する解釈は、対象魚や目的により異なるので、ここに書くことが正しいのではなく、一つの個人としての解釈として捉えて頂ければと幸いです。
また、ダブルハンドのラインシステムの詳細については、今後メニューの「Tackle」の中で記載しますので、ダブルハンドのラインシステムを知っている前提で記載します。
Skagit Castの特徴
現時点におけるSkagit Castの特徴は、以下だと思います。
- Skagit Castはダブルハンドの中で初心者にとっても取り組み易いキャスティング手法
- 軽い力でコンスタントにキャストできるエコキャスト(実釣向き)
- タックル依存のスタイルであるため、ロッドやHeadの選択が重要
以前、言われていた「重いフライを投げるためのキャスティング方法」という特徴は、現在は、「重いフライも投げられますよ〜!!」位になっていると思います。 それでは、タックルとキャスティングに分けてさらに詳細な特徴を書いていきましょう。
タックル
スカジットキャストの非常に大きな特徴の1つが、「タックル依存のスタイル」であるということです。スチールヘッドの釣りから生まれたスカジットキャストですが、スチールヘッドの釣りって、本当に1日ロッド振って、それを5日以上続けて1匹釣れるか釣れないかという過酷な釣りです。出来るだけ筋力を使わずに、コンパクトに、ある程度の距離をコンスタントにキャストし続けることが求められます。 そのため、ロッドやHead等、タックルの力を最大限活用します。スカジットキャストに向かない固いバネのないロッドを使っても軽い力では飛びませんので、必ず、スカジットキャストに最適なタックルを使って下さい。 もう一つ重要なことがあります。それは、「タックルバランス」です。適正なHeadに適正なTip、適正なロッド…とにかくタックルバランスが正しくないと飛びませんし、無理にキャストするとロッドが折れます。正しいタックルバランスで釣りをすることもがスカジットキャストではとても重要です。
特徴
Headの長さが短い
スペイ、アンダーハンド、デルタシューティング等、ダブルハンドには様々なスタイルがありますが、スカジットキャストで使うHeadが最も短いです。Headを部位毎に記載すると先端からフロントテーパー、ボディ、リヤテーパー(バックテーパー)という3箇所に分けることができるのですが、フロントテーパー部分が極端に短いのが特徴です。 これは重心がHeadの先端側になるので、飛距離は出ますが、着水の際にインパクトが大きくなるという弱点もあります。鏡面のような湖のライズをドライフライで釣るような釣りには向いてませんが、それ以外であれば、ほとんど問題なく釣ることはできると思います。
特徴
Tipのバリエーションが豊富
Skagit Castは重たいフライをキャストすることができます。そのため、水深の浅い場所から、深い場所、流れが強い場所から、流れが緩やかな場所まで状況に合わせてTipを変更し、様々な棚を探ります。 多少の棚の深さであれば、テクニックで水深を深めに流したりすることができますが、川の流れの速さや魚が居そうな棚に合わせ事前にTipを選択することで釣果が上がります。 しばらく起伏のある川を釣り下がると、「あ〜!この辺りは、Tipの選択と川の流れの相性バッチリだなぁ〜!このスィングスピードだと魚がかかるなぁ〜」という感覚がなんとなくわかります。
特徴
弾力のある柔らかめのロッド
Skagit Castで最も大事なタックルは、Headとロッドです。
Skagit Castに最適なロッドは、先端からミドルの部分にバネのような弾力があるやや柔らかめのロッドになります。
多くのロッドを試投しましたが、Skagit Castに最も適したロッドは、「OPST Pure Skagit Rod」だと思います。
驚くほどの軽さとバネのようなしなやかな弾力は、日頃、運動不足の私が、スチールヘッド釣行で5日間朝から夕方まで投げっぱなしでしたが、筋肉痛になりませんでした。ロッドの持つパフォーマンスと比較し、良心的なプライスは、Skagit Castを始められる全ての人達にお薦めしたいロッドです。
キャスティング
スカジットキャストにおけるキャスティングの特徴を書きます。スカジットキャストの基本は、一般的なスペイキャストのキャスティング手法を使います。 Cスペイ、ペリーポーク、ダブルスペイが基本的なキャスティング方法です。 この後の説明の中でキャスティングの際の専門的な言葉が出てきますので、左の動画から、7つのSTEPがあることを理解して下さい。ただし、このキャストは私がSkagit Cast初めて1年目の動画ですので、キャスティングは参考にしないようにして下さい。
スカジットキャストの最大の特徴は、「サスティンドアンカー」と呼ばれる、ラインをセットする際に、水の中にフライやラインを沈ませてしっかりとアンカーを作ってキャストすることです。 サスティンドアンカーの概念はエド・ワード初来日した際に撮影された素晴らしい動画があるので、貼っておきます。
特徴
重いラインやフライをキャストするために水にラインを沈める
「サスティンドアンカー」と呼ばれ、SETする際に、必ず、ラインの先のフライやTipを沈める動作が存在する。これをやらないとキャストアウトした際にアンカーが外れラインがしっかりと前に飛びません。
特徴
全ての動作が非常にコンパクトである
Pick UpからTurn overまでほぼ肩幅の中で完結する。 これは、長時間の釣行に対して、筋肉を使わずにコンスタントにキャストすることで安定的なスィングを行うための実践から培われた手法だと思います。
STEP
キャストアウトする際にロッドは止めない
オーバーヘッドやアンダーハンドキャストのようにTurn overする際に、ロッドを急激に止めるような動作は基本的には行いません。 これは、重いフライをキャストする際にループがタイト過ぎるとライントラブルになる可能性があるためです。
以上が、スカジットキャストの特徴です。ダブルハンドの中では、比較的簡単にキャストできる手法ですし、タックルの改良により、以前ほど一つ一つのタイミングが完璧ではなくても、釣りができる飛距離にフライは飛んでくれますので、ダブルハンドの釣りをやってみたいという方は、すぐに釣りができるという意味で、お薦めだと思います。 最後に、タイトループで対岸を狙いたいのだが、という場合でもスカジットキャストは、ロッドを止めるアクションを行えば、左側の動画のようなループは描くことができるということは付け加えておきます。