1. Skagit Line System
Skagit Head
スカジットキャストの中で最も特長的なタックルは?と問われれば、やはりスカジットヘッドだと思います。
フライフィッシングにとって、キャスティングする際に原動力(推進力)となるのがフライラインです。スカジットシステムにとって、その推進力となる部分がスカジットヘッドになります。
当初のスカジットキャストは、スチールヘッドをつるために、重く大きなフライをキャスティングできる手法として開発された経緯があり、特長の1つでもあります。
※図ではランニングラインが記載されてますが、一般的なSkagit Headは、ランニングラインは含まれておらず、フロントテーパーからリアテーパーまでをスカジットヘッドと呼びます。
Skagit Headの特長
フライラインの世界で言えば、渓流のようなテクニカルな川で利用する太さが一定のDT(ダブルテーパー)ライン、先端がやや太く、より直進性が高く、ランニングライン部分と一体となっているWF(ウェイトフォワード)ライン、ランニングラインと別になっており、さらに直進性が高く、遠くへ飛ばすことを目的として利用するST(シューティングヘッド)という区分けで言えば、スカジットヘッドは、STに属します。
スカジットヘッドと他のシューティングヘッドとの違いは、下記3つになるかと思います。
1. 他のシューティングヘッドと比較して非常に短い
2. フロントテーパー部分が極端に短い
3. 他のシューティングヘッドと比較して太い
これは、スカジットヘッドが重いフライをキャストするために作られたことに由来します。
※最近ではこの形状を応用し、軽いグレン数(重さ)でも遠投しやすいラインとして認知されつつあります。
図は、湖の釣りで定評のあるSAのシューティングテーパー 中禅寺スペシャルとOPSTのCommando Headを比較したものです。8番ロッド用として比較してみましたが、スカジットヘッドはより重く、短いことがわかると思います。
ST(湖用)とSkagit Headの役割は違う!
ヘッドには大きく2つの役割があります。
- フライをキャストするための推進力
- キャスト後のフライの棚やスイングスピードのコントロール
説明をわかりやすくするために、湖用のSTの役割とスカジットヘッドの役割の違いをご説明します。釣りの状況やコンセプトが違うと使い方も全く違うことがわかると思います。
1. のフライをキャストする役割に関しては、湖用のSTは、軽量のストリーマーやフライを遠くに飛ばすこと、そして静かに着地させることが目的となるため、8番ロッドであっても重さが軽いヘッドを使います。一方スカジットヘッドは、足場が悪く流れの重い本流の中で、最小限のパワーとコンパクトなキャストで重いフライを一定の距離キャストすることを目的としており、太く短いヘッドとなって行きました。
2. の着水後のラインコントロールという視点では、湖のように深さがある状況下では、「SAのシューティングテーパー 中禅寺スペシャル」自体がsuper interからType IIまで4種類の重さがあり、棚の深さに応じてヘッド自体を変えて釣りを行います。一方、スカジットヘッドは、川の流れの速さ、重さがありますので、ヘッド自体ではなく、ヘッドの先に取り付けるチップの重さを変え、棚の深さや、流れの速さ、重さに対応します。
Skagit Headの変遷
過去に使ったことがあるスカジットヘッドを列挙します。
- RIO Skagit Short
- SA Mastery Skagit intermediate
- SA Mastery Skagit Extreme Head S1 / S2
- Airflo Skagit Compact
- Beulah Tonic Spey
- Beulah Tonic V2 Spey
- RIO Skagit MAX Shor
- Beulah Skagit Short
- OPST Commando Head
既に絶版になっている製品がほとんどですので、あまり詳細は書きませんが、総じてSkagit Headの全長はどんどん短くなり、フロントテーパーは限りなく無くなっているよう発展していると言っても過言ではないです。
エド・ワードが体系化し、製品として確立したOPST Commando Headの出現により、多くのメーカーがそれに追随しているのだと思います。
OPST Commando Head
ここでは、2015年に発売されたOPST Commando Headに特化して特集してみたいと思います。
OPST Commando Headをご購入したい方は、こちらからどうぞ
OPST Commando Headの開発秘話
OPST Commando Headの出現により、スカジットキャストの生みの親と言われているエド・ワードが体系化したスカジットヘッドが、製品化され、ほぼ完成形になったと思われます。構想から5年、開発から3年の歳月を経て2015年に製品リリースされたCommando Headの開発秘話や歴史に関しては、こちらを参照してください。
OPST Commando Headの特長
先ほども書きましたが、OPST Commando Headは、全長が短くなり、よりコンパクトにキャストする必要があります。
そして、特筆すべきは材質です。他の製品と比較し、非常に柔軟性があります。ラインが短くなり、フロントテーパーが限りなく短くなったため、着水時の衝撃を心配してましたが、材質の柔らかさにより、綺麗なループが描けるよう設計されているようです。
写真は、Beulah Tonic V2 Switch 400grと比較していますが、フロントテーパーが短い分先端の太さが明らかに違います。
Commando Headを使った注意点
Commando Headを使ったキャスティングに関する注意点に関しては、今後作成予定のSkagit Castキャスティング編で詳細を記載しようと思ってますが、以前、ブログに記載した内容が参考になると思いますので、一旦こちらを掲載しておきます。参考にして下さい。
ラインが短くなったため、バックスペースがほぼ無くてもキャストすることができます。コンパクトなキャストを心がけて下さい。それでも十分飛びますので…
OPST Commando Smooth
Micro Skagit仕様のランニングライン一体型のスカジットライン!それが、2018年に販売された「OPST Commando Smooth」です。OPST Micro Skagit Rod(3番、4番、5番)用のラインです。高番手のように遠くにフライを飛ばしたい時は、モノフィララインがベストですが、手返しよく近距離をキャストする低番手として、非常に使いやすいラインです。基本的にはCommando Headのランニングライン付きですので、Commando Headとアクションや使い方は変わりません。
結び目が無いため、ガイドに引っかかることもなく心地良くキャストできます。
動画は、OPST Commando Smooth開発中のインタビューですが、エド・ワードさんも大満足のようです。
下記のブログで掲載した魚もCommando Groove使って釣ってます。
OPST Commando Groove
2019年に発売された「OPST Comando Groove」は、「単なる「Commando Head」のインターミディエイト版と思ったら大間違いです。
Commando Headの進化版であり、エド・ワード氏が考案したSkagit Systemの概念(Skagit Formula)を完全に具現化したラインです。
場合によっては、Commando Headではなく、
Commando Grooveを使うことが多くなると思います。
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Commando HeadとCommando Grooveの構造的違いは?
Commando HeadとCommando Grooveの構造的違いを書きます。図も参考にして下さい。
※OPST Commando Grooveの方が先端が重いため、1サイズ小さいものを使って下さいとのことでした。
OPST Comando Grooveの何が凄いのか?(機能編)
Skagit Headを使った釣りを経験している方はわかると思いますが、恐らく80%以上はスイングを流しきったところで魚がかかります。
私自身も以前天塩川で大物を逃した際にかかったのはスィングの途中でしたが、ストリーマーを使った場合、ほとんど流しきったところで魚がかかります。
Commando Grooveは先端部分が水に馴染みます。
スイングのスピードが確実に落ちます。
重く早い流れである場合かなり効果的なスイングスピードになります。
この効果により釣れる範囲が変わります。
Commando GrooveとCommando Headの対象範囲を図示します。
OPST Comando Grooveの何が凄いのか?(エピソード編)
1つエピソードをお話しましょう。
2019年3月のスチールヘッド釣行の際に、私が先行して
スキーナ水系に入りました。
やや水深のある本当に素晴らしいポイントでした。
そこで私は、1投1投丁寧にキャストしました。
Skagit歴は10年になりますので、どんな方向から風が吹こうが、ほとんどミスキャストをすることはありません。
そのポイントがかつて数々の大物を釣りあげた最重要ポイントだということを知ってましたので、慎重にキャストして、メンディングしました。
集中力を研ぎ澄まし、自分の後には、ペンペン草も生えないような正確なキャストとメンディング!!
Commando Headの先端には、132grのBucketのTIPを使います。
ほぼ腰付近まで水に入り、遠投し、完璧なスイングを行います。
そこで私はバラシしてしまったのですが、私が釣ったすぐ後に仲野さんが「Comando Groove」で簡単にスチールヘッドを釣ってしまいました。
当然、仲野さんの方が上手ですので、これが逆だったらもっと信憑性があったと思いますが、ぜひ今まで釣れていなかったポイントで試してみて下さい。
次回、然別湖でこのCommando Grooveを使って試して来ようと思ってます。
湖でも使えると思います。
OPST製品 Skagit Headスペック表
Commando HeadとCommando Grooveのスペックを掲載しておきます。
※OPST Commando Grooveの方が先端が重いため、1サイズ小さいものを使って下さいとのことでした。
例えば、OPST Pure Skagit Rodの8番に合わせる場合は、Commando Headであれば、400gr!Commando Grooveであれば、375grが適合サイズになります。
ちなみに、私は、少し軽めのラインの方が好きなので、8番ロッドには、Commando Headは、375grをCommando Grooveは350grを使い、風が強い場合は、1サイズ上げるようにしてます。
TIP
Tipは、スカジットヘッドに続く非常に重要なタックルの一つです。Tipの役割は下記の2つです。
- 棚(深さ)を探る
- 流れの重さに対応する。
スカジットヘッドの先端に取り付けて使います。