カナダスチールヘッド釣行(準備編VOL1)
昨年行きたかったのですが、仕事の兼ね合いで行くことが出来なかったカナダスチールヘッド釣行…
今年は、忙しかったプロジェクトも終わる予定で、
新プロジェクトとの狭間になるため、ゆっくりとお休みを頂き行くことが出来そうです。
そこで、カナダスチールヘッド釣行に向けた準備編として、
そもそも、どんなところで釣りをするのか?
スチールヘッドの生態は?
どんな準備をして行けば良いの?
等々わからないこと満載ですので、ブログで整理しながら、数回に分けてカナダスチールヘッド釣行準備編ということでブログに記載したいと思ってます。
VOL1は、スチールヘッドの生態編です。
■スチールヘッドの遡上っていつ?
よくウインターラン、サマーラン、スプリングラン等の言い方があると思います。
そもそも、これってどういう意味なのでしょうか?
これは、川で生まれたニジマスが降海後に産卵のため海から川に戻ります。
この川に戻る時期を○○ランという言い方をします。
従って、初夏に海から遡上する魚をサマーラン、冬に海から遡上する魚を
ウインターラン(概ね~4月まで)という言い方をするようです。
■産卵はどこでするの?
カナダスチールヘッド釣行で最も有名な川がスキーナリバーです。
スキーナリバーには多くの支流があり、その支流、上流を目指して
スチールヘッドは、遡上します。
スキーナ水系は、カナダブリティッシュBC内で最長の河川です。
全長570kmです。天塩川が256kmですので、その倍以上の長さになります。
スチールヘッド釣りで有名な支流のBabine riverの長さも加味すると
海からの距離は、800kmに及びます。
スキーナ水系でスチールヘッドの釣りの拠点となるテラスという都市は、海からの
距離が比較的近く、スチールヘッダー達のベースキャンプとして
利用されている都市ですが、それでも海からの距離は、150km以上
あります。
テラス近辺から合流するKalum Riverは、ウインターランスチールヘッドで
有名な支流です。
スキーナ水系ではありませんが、海からの距離が短いKitimat Riverも
ウインターランスチールヘッドで有名だそうです。
一方、Bulkley River/Kispiox River/Babine River/Sustat River/
Dean River/Thompson River等は、スキーナ水系の上流、海からの
距離は300kmから500kmとなり、サマーランスチールヘッドで有名な川です。
つまり、ウインターランで有名なスキーナ水系支流は、海からの距離が
近い場所で産卵を行い、サマーランで有名なスキーナ上流部の
支流は、サマーランで有名な河川となります。
今回、スキーナ水系(支流含む)の大変見やすいマップ見つけましたので、
掲載しておきます。
■産卵っていつするの?
スチールヘッドの産卵時期(ニジマスの産卵時期)は、比較的温暖の地域では、
秋から冬にかけて繁殖を行い、寒い地域では、春から初夏にかけて産卵するようですが、スキーナ水系では、ほぼ1年を通して産卵があるようです。
サマーランとして遡上したスチールヘッドは、10月以降、ウインターランとして遡上したスチールヘッドは、概ね5月が産卵シーズンとのことです。
■産卵後の魚はどうなるの?
スチールヘッドは、鮭と異なり産卵後に絶命することは無いのですが、産卵後に
海に戻るのはごくわずかだそうです。
特に雄は、遡上、繁殖活動後は川に残る傾向が強く、雌は海に下るものもいる
そうです。
文献では、「雌はしばしば海に戻る」と記載されてますが、仲野さんによれば、
スチールヘッドが産卵し、海に戻り、また遡上のため上がってくる魚は、
全体の0.4%程だそうです。
■スチールヘッドの親は、スチールヘッド?
これに関しては、非常に興味深い文献がありました。
スキーナ川の場合、海を回遊するスチールヘッドは、スチールヘッドの遺伝子を
受けついでいるようです。
精子をかけるような行動が見受けられます。
スチールヘッドも同様にニジマスの雄が親になることもあります。
サクラマスの場合、強いヤマメが生存競争で勝ち、負けたヤマメが下流から海へ回遊するという生存競争起因でサクラマスになると言われてますが、スキーナ川ではニジマスの雄、雌の産卵後にスチールヘッドになる魚は、ごく僅かなようです。
■海に下ったスチールヘッドは何故銀色になるの?
浸透圧が変わります。
例えが良くないかもしれませんが、代謝機能って体色の変化を及ぼすのは、人間も同じですよね。
肝臓壊すと皮膚の色が黒くなったり…(><)
■スチールヘッドってどのくらいの期間川で過ごし、どのくらいの期間海にいるの?
スキーナ川のスチールヘッドは、孵化後4~5年淡水の川で成長するようです。
その後、雪解け水が入る4月に海に降り、1~3年海で過ごすそうです。
海で1年程過ごしてから川に戻るスチールヘッドはスモルト化の傾向が強く、
2年以上海で過ごした魚は、海水に慣れ、スモルト化の傾向が弱くなるようです。
■どのくらいの数のスチールヘッドがスキーナ川に遡上するの?
1991年の調査結果によれば、スキーナ川に遡上するスチールヘッドは、年間32000匹だそうです。
近年はスチールヘッドの量が激減しており、半分以下になっている可能性があるとのことです。
現在の遡上数が16000匹と仮定します。サマーラン、ウインターランで半数ずつ分けたとして、ウインターランでは8000匹のスチールヘッドしか遡上しません。
海で2年以上回遊してから遡上するスチールヘッド(いわゆる、トロフィー
サイズ)を考えれば、ごく僅かしか存在しないということになります。
【総括】
今回、Skeena近郊の川に釣行するにあたり、海外の文献を調べ、あらためてスチールヘッドの希少性がわかりました。
近年、スチールヘッドの数も激減していると言われている中で、
特に産卵環境でスチールヘッドの釣りをする方は、魚を水からあげない、
すぐにリリースする、出来るだけ早くランディングしてあげる等の配慮が必要だと思います。出来れば産卵床に近い支流上流での釣りは避けたいものです。
【参考文献】
■Zymoetz river Steelhead:Summary of Current Data and Status Reveiw,1997
Adam F.J Lewis / Sam Buchanan
※Zymoetz riverは、Skeena riverの支流になります。
Terrace近郊でSkeena riverと
合流しますので、サマーラン、ウインターランどちらも遡上する川です。
PDFファイルがOCR化されていないため、翻訳に苦慮しました(--;
英語得意な方は原文で読んでみて下さい。
■A review of the characteristics, habitat requirements, and ecology of the Anadromous Steelhead Trout
(Oncorhynchus mykiss) in the Skeena Basin
Aaron Fulton
初心者向けのスチールヘッドの生態について記載されてます。
海に下ったスチールヘッドがどこに行くのかに関しても記載されており、
大変興味深いです。
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